在シドニーのナチュロパス、前田アンヌのブログ です


by naturopathic_view

ナチュロパス国別事情 (1) &ちょっと歴史

現在まで発展してきたナチュロパシーの歴史が各国で違うため、現在の事情もものすごくバラバラ。
そんなわけなので、ここでさらっとその流れを追っていきたい。

現在の豪欧米のナチュロパシーは、ヨーロッパにおける18世紀と19世紀のNature Cure(自然治癒)ムーヴメントが根底にある。

このころの自然療法は健康増進や特定の症状を改善させるための水療法や菜食療法、日光浴、などいろいろあった。
形態は違うものの共通していたのは、身体の治癒力を自然なやり方で刺激することは病の回復と予防に効果があるという考え、すなわちヒポクラテスの “The Healing Power of nature”にあった。

20世紀の初め、ヨーロッパのそれまでの自然治癒ムーヴメントをナチュロパシーというコンセプトに統一しアメリカで広めたのがドイツ人医師ベネディクト∙ルスト。
職業としての‘ナチュロパス’もアメリカから始まった。

ナチュロパシーの最大の特徴は、さまざまな療法を1人のナチュロパスが患者によって使い分けるというその折衷性にある。
何と折衷するかはそのナチュロパスの個性とスタイルによって決まるという自由さもある。

ただし中核をなすのは、食生活の改善、薬草療法、ホメオパシー等で内面から自然治癒力をまず高め、これに身体を直接だが穏やかに刺激する水療法やマッサージを加わえるという基本のスタイルはベネディクト∙ルストの当時から現在まで変わっていない。

この後、北米のナチュロパシーは大きく発展を遂げ現在に到るが、ナチュロパシーのシステムは豪欧州とは違い、州ごとに違いはあるものの医師免許とナチュロパスとしてのディプロマを併せ持つ。
職業的地位の高さと規制の枠組みの確かさでは、北米のナチュロパスは他国の群を抜く。
ただし、オーストラリアに比べるとナチュロパスの数が少なく、国民が自然療法に親しみ気軽にナチュロパスにアクセスしているかというとそうでもない。

ドイツでは自然療法は長く人々に愛され、1930年代の終わりにはドイツ右翼派からの支援を受けてさらに普及したらしい。
現在の医師教育もホリスティックで、ホメオパシーやメディカルハーブは通常医療現場で取り入れられている。
ドイツのナチュロパスは州のライセンス試験を受けて所定の大学で学ぶことにより ヘイルプラクティカーHeilpractikersとしての免許を受ける。
その後、国の医療システムの一環として働くという、これはヨーロッパのなかでも、良い意味でかなり違う。

19、20世紀イギリスでは、ナチュロパシーは他のヨーロッパ各国やアメリカに比べてポピュラーではなかったようだ。
自然療法家の数も 教育機関も少なかった。
ホメオパシー、薬草学、栄養療法といった治療を北米のように折衷的に使うことはイギリスではあまりなく、よって各療法が個別に発展を遂げていく。

現在のイギリスはオーストラリア、ドイツと並んで自然療法が最も自由に行われ一般にも普及している国のうちのひとつである。

他の西ヨーロッパの国々では、その国の祖先から伝わる民族的伝統医療から始まって今日の自然医療まで発展してきた。
さまざまな自然療法があるものの折衷はせず個別に発展し、ナチュロパシーとしての発達はこれらの国ではされていない。

フランス、ベルギー、イタリア、スペインにおいてナチュロパシーは違法であり、一方でオランダではナチュロパス登録システムへ向けての動きがある。

以上さらっと説明しましたが、どんなにバラバラか皆さんにもおわかりいただけたと思います。





参考文献

An Introduction to Complementary Medicine, edited by Terry Robson, Allen & Unwin, Australia, 2004

Chevallier, A., Encyclopaedia of MEDICINAL PLANTS, Dorling Kindersley Limited, 2001, St. Leonards


海外で活動する日本人ナチュロパスの方で、意義異論同感そして推薦本などありましたら、ぜひコメントお寄せください。

このブログはそういうディスカッションをもするために作りました。

各国ナチュロパス事情の正確な情報を一緒に作って行けるといいなと思っています。
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by naturopathic_view | 2008-07-21 12:30 | クリニック