在シドニーのナチュロパス、前田アンヌのブログ です


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有機的な無機質の世界

STUDY DAYの今日は、ミネラル/無機質についてさらってみました。
興味のあるかたとシェアしよう、ということで一部をエントリーです。

「有機的な無機質の世界」

炭水化物、タンパク質、脂質のようなマクロ栄養素と違い、ビタミンやミネラルとなると数も多い。
ビタミンはまだしも、ミネラルはカルシウム以外その重要性を知るチャンスも少ないかもしれない。

個々のミネラルの解説はしないけれども、全体としてなぜ重要なのか、について考えてみたい。

ミネラルの機能はいろいろあるけれど、大まかにはこの3つ:

1.構造的 骨、歯、結合組織、細胞膜の構造に必要。大きな分子構造を安定させる。

2.電解質 細胞間の浸透やpHバランスの調整。エレクトリカル・グラディエントが起こる際、細胞膜を安定させる

3.代謝 生体代謝過程と細胞機能のほとんどに関与。酵素をアクティベートする。

要は地球上のどんな生き物のどの細胞も、生きるため=生体代謝のためにはミネラルが必要なのだ。

体液のコンポジション、血液や骨の形成、補酵素機能、正常な神経組織の維持、心筋を含む筋肉の動きの調整、成長、自然治癒、エネルギー生成など、身体が正常に機能するためのこれらの働きはすべてミネラルが関与している。

正常な体内酵素の活動にはミネラルが必要だし、ミネラルは酵素の存在によってそのポテンシャルを何万倍にも高める。

例えば、ひとつの鉄の分子は触媒酵素カタラーゼの存在によって、代謝スピードを秒速で50から10万倍まで上昇させることができるのだ。

人間の身体から主要な酵素をすべて取り除いたら、2日もかからず死んでしまうという。
酵素がひとつかけても代謝が困難になるのは、アルコール分解酵素をあまり持っていない飲み助の例をイメージするとわかりやすい。。
(ミルクシェークが大好きな乳糖分解酵素欠乏の人とか、かわいそうだ)

それぐらいならまだリバースも効くが、フェニルケトン尿症のように先天的酵素異常によって、フェニルアラニンの代謝が阻害され起こる疾病などは、早期に手を打たないと神経系統に異常をきたしてしまう(新生児スクーリーニングがあるのでフェニルケトン尿症は早期発見されるようになっています)

さて、ミネラルとひとくちにいってもいろいろあり、体内での要求度が高いものからマクロ、マイクロと分けられる。

マクロミネラル (体重に対するパーセンテージが高い順)
Ca, P, K, S, Na, Cl, Mg

マイクロミネラル (Mo以下はさらに微量)
 Fe, Zn, Se, Mn, Cu, I, Mo, Co, Cr, F, Si, V, Ni, Sn

このほかは水銀など重金属がある。

ミネラルは通常陽にチャージしたイオンの金属と、陰にチャージしたイオンの非金属に分けることができるが、それぞれ単体で働くことはなく、相性のいいイオン同士が合体して機能する。

この時の相性のいいイオンというのはお互いが正反対であり、陽イオン金属は陰イオン非金属と引き合う。

例えば、マグネシウムMg++は陽にチャージしている金属で、陰にチャージした非金属リンP-と合体しリン酸マグネシウムとなり、マグネシウムの吸収・排出の調整・酵素活動・神経と骨格筋系機能・エネルギーの生成などに関与していく。

全てのミネラルはこうしてカップリングして活動するのだ。

もちろん、マグネシウムがペアを組むのはリンだけではない。

カリウムKはリンPとくっつくと神経系統に働くペアとなるし、硫酸Sとくっつけば炎症効果を発揮するペアとなる。

だから、ミネラル不足の症状によっては、同じカルシウムでもリン酸カルシウムがいいのか、クエン酸カルシウムやカルシウムキーレートの混合がいいのか微妙に変わってくる。

一般によく言われる、カルシウムとマグネシウムは体内で活動するのに適応した比率がある、という話。

Ca2:Mg1のサプリメントが市場では多いけれど、いろいろな人が違った説(1:1から4:1まで!)を提唱している。


個人のからだは身体的精神的環境的要因によってユニークであり、十人十色。

これらの説もホリスティックに生化学解析すれば、当てはまらない人はたくさんいる。

その人の身体全体を考えた時にどうなのか、だからミネラルの吸収に必要なビタミン、マクロ栄養素の状態、運動、ストレス、環境、精神状態、消化の状態などをしっかり見ていくことが大切。

でも基本の考え方としては、必須ミネラルにおいては特に、体内のミネラル濃度や蓄積量が多すぎても少なすぎてもだめ、疾患の原因になる。

ミネラル不足の多くは偏った食事から、逆にミネラル過剰の多くはサプリメントから起きる。
重金属の過剰は、そのミネラルによるけれど生活環境や土壌、水質などをチェックする必要がある。

また、ひとつのミネラルが過剰な場合、それだけが問題ということはあり得ない。
そのミネラルが上昇する他の理由があり原因がある。

健康維持のためなら総合ビタミンとミネラルのコンプレックスを毎日とるのがいちばん無難で、目的に沿って働いてくれる。

健康に何の問題もない人は、この上にミネラルを上乗せする必要はない。

それでもカルシウムやマグネシウムをサプリで補いたい理由がある場合、どちらも服用量によって循環器系の薬に干渉する可能性があるため、主治医か栄養学に精通している医師/管理栄養士に相談すること。

食品からビタミン/ミネラルをしっかるとるなら生野菜ジュース、冬ならスープや鍋からとるとよい。
ただし、加熱などによる酸化のロスを考えて、新鮮な材料でさっと作ってすぐに食すこと。

くたくたに煮込むと、せっかくたくさん野菜を入れて一生懸命作っても、ミネラルによってはそんなに何時間も生きられない。
(亜鉛は次の日のスープにはもう存在しないと思っていい)

骨の健康を考えた場合、クリニックで最初にアドバイスするのはこの3つ:

1.体調に合った定期的な運動を週に30分最低3回行う(骨や筋肉を強くするには運動以外にない)
2.消化に合ったタンパク質を少量/頻食する(骨の原料はタンパク質、カルシウムではありません)
3.一日30分ぐらい日光に当たる(カルシウムの代謝には活性型ビタミンDが必要)

自分の過去の経験では、1から3にまじめに取り組んだ患者さんは、3ヶ月もしないうちに全員身体強度が上がっている。

オカネもかからず、すぐにできて、とても効果がある。





 
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by naturopathic_view | 2011-11-11 11:12 | クリニック